俺が28歳の時の小説感想~石田衣良『1ポンドの悲しみ』

さて、『1ポンドの悲しみ』のご紹介。これは確か3年くらい前に読んだ本である。

当時、それがだいたい4~5年ぶりくらいの小説読書だったことを思いだす。大学の頃はあんなに小説(主に村上春樹)が好きだったのに、社会人になってからなんか自己啓発的な本しか読まなくなってしまったのだ(←村上春樹的に言えば、いちばんつまらなさそうなやつww) あれが社会に迎合するということだったのか・・・ 

 

 

 

『1ポンドの悲しみ』石田衣良(著)

 概要


数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた――(表題作)。16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せになれないウエディングプランナー……。迷い、傷つきながらも恋に生きる女性たちを描いた、10のショートストーリー。

内容紹介の通り、色んな事情を抱えた三十過ぎ女子たち(時々男子)の恋愛短編集。ひとつひとつのお話につながりはなく、まったく異なる背景を持った人々のストーリーがテンポよく展開していくので、読みやすかった。

共感できることもあれば、まったく自分に縁遠いようなこともある。よっぽど交友関係が広くて深くないと、リアルではなかなか味わえない感覚。そして、それぞれのストーリーの違いを際立たせていたのが、登場人物一人一人の大変細やかな職業の描写。これには舌を巻いた。これによって、三十過ぎという設定がよりいっそうリアルに際立っている。僕もあと数年したら、自分自身の職業のことをあそこまで語ることができるようになるのだろうか…

 

 

内容紹介|3年前の俺の読書感想文を発見(笑)

昔、なんか印象に残った文章やフレーズを書き写した読書感想文を発見した(笑) 心に残った文章の引用がメインだった。俺が書き写したのは、いかにも小説らしい凝った描写や表現ばかりだった(悪く言えばあざといヤツw) 以下はそれから、転用した内容がほとんどである。

 

その読書感想文のタイトルは、
~短い時間で一気に様々な人の心情に触れる有意義さを~

 

…当時の俺、意識たけぇな!!笑

 

3話:十一月のつぼみより

 


別なことを始めるためには、先に終わらせておかなければならないものがある。

 

あらゆる物事に関してこういう面があるだろう。

この物語の場合は、どんな背景からつづられた文章だろうか?

 

 

(=答え:夫以外の男性にときめく妻)

なぜ俺はコレをノートに写した?www
※これは今の俺の心の声

 

 4話:声をさがしてより


 あこがれの苗字

 

質問されたら即座に答えれるよう準備しておきたい。俺もごくごく平凡な名字やからな

 

 


前回のオリンピックよりも昔の話

 

ほうほう・・・ ウィットに富んだ表現じゃないか。4年以上前のことは、俺も今度からこう表現しよう

 

 


これからは観客として生きよう。それも、できるだけいい客になろうって。…インチキなやつや浅ましいやつにはきちんとブーイングして退場してもらって、これはいいなと思う人にはできる限り肩入れをする。

 

とても共感できる

 

 5話:昔のボーイフレンド

 
最悪なのはみんな最後にいう台詞がいっしょ

 

理不尽な事態に対して、それが正当化される瞬間。そりゃあ確かに最悪だよね

 

 


深夜の電話はなぜこんなに楽しくて、相手を身近に感じるのだろうか。相手の顔が見えずに声しか聞こえないと、心と心がじかにふれあっているような気がする。

 

わかるわかる。学生時代を思い出すね。

 

 

 
二枚目の声になってる

 

そうそう、俺も二枚目の声になってたわ

 

 6話:スローガール


愛なんてセックスを包んでいるただの包装紙

 

ジゴロの友達に言ってやろうかな。「お前の愛なんて・・・」

 

 8話:デートは本屋で


 ここでNOならこのときめきに未来はない。

 

オシャレだ。語感がよろしい

 

 


自分のお金を意思表示のためにつかえる。それは千晶が仕事を続けるおおきな理由のひとつだった。

 

お金をどのように使うか、それ行為自体がひとつの意思表示であること… 忘れてはいけない

 

 


工場は科学技術と経験から生まれる現場のものづくりの智恵を最適化した解答なんだ。

 

好きなものをこんな風に知的に語ってみたい!

…B’zは松本の技術と稲葉のシャウトから生まれる現場の曲づくりの智恵を最適化した解答なんだ

 

 


いけてたよ。
(中略)…ほんの5文字の言葉が生む力に、千晶は心動かされていた。
(中略)…一世一代の殺し文句

 

そんな5文字を、俺も繰り出したいものですね

 

 


恋にはきっと0か1しかなくて、相手と別れたとたんにすべてがリセットされるのだろう。

 

女性の方がこんな感じよね。どっちかと言えば。

 

 9話:秋の終わりの2週間


秋の七曜はまたたくまにすぎた。伊沙子にはまるで気にならないのだが、俊隆にはこの二週間は特別なものであるらしい。16歳の年の差が、1歳分だけ縮まって15歳差になる。それだけのことが、夫にはうれしくてしかたないらしい。この2週間は毎年、夫は妙にやさしくなったし、若々しくもなるのだった。

 

こういう心情もあるのだということを、ちゃんと覚えておきたかったから、ノートに書き写したものと思われる。たぶん

 

 10話:スターティング・オーバー

 
逆にね、みんなが恋することやカレンダーにどんなに振り回されてるか、奇妙に感じたよ。だってイベントのあるたびに自動的に恋愛するなんて、わたしたちはベルトコンベアじゃないよね。

 

ベルトコンベア笑

 

 


恋愛工場で必死に働いていた。

 

ベルトコンベアのくだりがあればこそ

 

 


おれたちはへろへろになりながら、なんとか三十年を生き延びたんだ。もう一度すべてを始めるチャンスは、誰にでもあるはずだ。

 

本篇では恋愛に関するお話しだけど、この言葉は恋愛に限った話じゃない。全ての三十代成人に告ぐ、希望に満ち満ちているメッセージ。恋愛短編集の締めくくりにふさわしいストーリーで、素晴らしいラストだった。

 

 

 

 

ちなみに、スターティング・オーバーってどういう意味かご存知ですか?

Starting Over
= 新たなる旅立ち、再出発、やり直すこと

 

 
なぜ、目のまえにある簡単なことに気づくのに十年もかかってしまうのだろう。大人になった身体に、心が追いついてくるのに、なぜたっぷり十年も必要なのだろう。わたしたちは甘やかされて育ち、快適さのなかで自分から目をそらすことに必死になっていた。それは誰でも同じはずだ。曲がり角のむこうから突然やってくる、今という時代に身も心も縛られて、立ち尽くしてしまうのだ。でも、気づいたときから、また始めればいい。

 

読んでいて、身につまされる思いもある

 

 

 

でも、気づいた時から、また始めればいい。

 

(おわり)

 

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